マスコミ新人取材マニュアル

マスコミ新人取材マニュアル「親と上司は選べない」「同業他社との結婚は「できちゃった」結婚で」「聞き込みは顔を見て決めろ」
マスコミ志望者は、まずマスコミで働く人の実態を知るべきだ。
元週刊新潮、毎日新聞、朝日新聞記者阪東恭一著(COPY RIGHT 2006)

もくじ

- はじめに

- その1

- その2

- 出版社編集者(書籍、雑誌、マンガ)編

- 付録 ジャーナリズムに関する本と映画の紹介


◆その1

0 最初の3ヶ月で評価が決まる
 赴任(配属されて)して最初の3ヶ月は休みも返上して働こう。30分前出勤も。3ヶ月頑張れば、そのあとに失敗しても「あいつなら仕方ない」で済みます。逆に「ダメ」のレッテルはられると「また失敗したのか」になります。とにかく3か月勝負です。マスコミでの「能力の判定」は一般企業より早いのです。

1「親と上司は選べない」
バカな上司、うまが合わない先輩はどっちかが異動するまで我慢する

2「聞き込みは相手を見てからする。お喋べりを見つける」
「喋らない人にいくら食い込んでも時間と労力の無駄だ」とリクルート事件を指揮した朝日新聞の横浜支局次長(当時)の山本博記者は言った。

3「他社と仲良くする」
 特ダネの逆がある。特オチである。自分の会社の紙面で重要な記事が掲載されていない。特に地方版(新人は大手新聞は5年の研修期間として地方の県庁所在地などに赴任ふる)で多い。記者クラブで自分が不在の時に、他社が談合して「あいつをはめよう」ということで、教えてもらえない。したがって翌日の朝刊に自分の新聞社の紙面の記事がない。だから仲良くする。本当の特ダネは黙ってこそこそと取材して書くことがある。
 しかし、B級の特ダネで「復讐」されるのである。
 他社の先輩からも教わることが多い(自分の会社のデスクは教えてくれない時)ので懇親会と称して飲んでいた。すると家に帰るとかかあ(妻)が「遊んできた」と怒るのである。
 結婚したら早く子供を作っておくこと。すると、妻の目は夫である記者ではなく、赤ちゃんの面倒で亭主どころではないので、助かる。実家に帰るかかあが多いので、よけに「独身気分」を味わえる。また独身よりも若い妻持ちの男の方が芸能界だけでなく持てるのである。女も他人の物を奪いたい欲望があるのかもしれない。逆に、男性のデスクが、大学卒業したての新人(女子のみ)を可愛がり過ぎて愛人にしている例もあまたある。

4「取材相手に食い込む」
囲碁、将棋、競馬などの趣味から、刑事訴訟法などの法律知識まで幅広く「知識」は知っておく。相手に合わせて話題を提供する。
 警察取材で、相手に食い込む(檀家にするという)場合は、子供や奥さんの誕生日を聞き出して、プレゼントを用意するとか。奥さんを落とせば、自然と亭主(刑事)は落ちる。
 つまり、搦手(からめて)から食い込む。また子供の家庭教師をやる。記者は大卒(たまに東大京大もいる)ので小学生の国語英語算数程度なら、なんでもござれである。まず奥さんを喜ばすこと。
 副署長級は単身赴任が多いので、自宅で夜は囲碁や将棋をやっている。間違ってもパソコンはやっていない。囲碁、将棋の相手をすると喜ばれる。

5「名刺を100枚もって鞄に入れる。パンフレットのつもりでばら蒔く」
 出版社の週刊誌記者の場合は東京が「主戦場」となるさまざまな異業種交流会、マスコミだけの会や政治家、文壇のパーティーがあり、そこにいって辺り構わず、名刺をばら蒔き、もらった名刺には返事の手紙を出す。
 手紙はいちいちかけないので、大学の後輩や弟や妹にあらかじめお礼状を書かせておき、日時と相手の名前を入れれば、3分でできあがるようにしておく。返事が来れば、それがまず人脈の一歩である。著者は手紙作戦で、故田中角栄首相の秘書と懇意になったことがある。

6「検察、警察、役所には名前を売り込む」
 毎日新聞時代に某県の警察本部で胸に名札をつけていた記者や胸がみえそうでみえない薄いブラウスとパンチラのミニスカートで「悩殺」で、サツカンのなかで人気が上がり、一気に名前を覚えられた記者がいた。婦人警官は柔道3段で、女子柔道のオリンピック選手で「閨(ねや)の中で、寝技を使われたら男でもひとたまりも無い、よって女子大生の雰囲気の女性記者やディレクターは有利です。ただし、30歳までの限定期間中のみ有効です。

7「マスコミも営利組織の会社である」
 したがって、辞令は拒否できない。できるのは毎日新聞だけである。
これは最高裁の判例で確定している。会社には人事権があり、従業員は従わないといけない。つまり転勤先も配属部署も選べない。希望は出せるが、通るためにはライバル(標準の)の1・3倍は働く必要がある。
 逆に「優秀」すぎると、その部署から出してもらえない。囲われる。逆に「さぼり記者」は「相手の部署」が引き取らない。マスコミの人事は基本的には部門間のバーターである。これはメーカーなどの一般企業と大きく違い、人事は一切の権限を持たない。辞令を書くだけのかなしい部署である。あと採用・新人・中堅の社内教育ぐらい。


8「居留守を使われたら手紙作戦に切り換える」
 おうおうにして居留守を使われる場合があるが、特に相手が(取材を受けることで)不利な場合や「裏付け」を取りたいが、一切、インターフォンにもでない場合などは、手紙を置いていく。相手は必ず読むので、相手に取材に応じた方が得だと説得する。郵送してはいけない。労力を惜しむな。


9「配偶者と子供を大切にしないと早死にする」
 放送記者や新聞記者、出版社の編集者、放送のディレクターやプロディーサーなどマスコミ人は早死にする人が多い。これは若い時に体を酷使するからだ。また生活が不規則になる。出版社の編集者も締切り前は数日徹夜も普通だ。さらに過酷なのが放送のディレクターだ。入局して2〜3年はAD(アシスタント・ディレクター。NHKではFDフロア・ディレクター)なので「奴隷以下」である。弁当やタバコのぱしり(お遣い)やタレントさまのその夜の女性の手配までさまざまな雑用を24時間させられる。いくら高給(年収1000万円以上)とはいえ、体はボロボロで結婚しても子供をかかあに生ませることもできない。
 かかあや子供にとっては亭主は給料運搬人だ。かかあに仕込まれるのか「おじさんこんどいつ来るの?」と子供に言われると、さすがに仕事のやる気もなくし、つらいものがある。(この点、某社はボーナスのみ社長じきじきの現金支給だったので、この時のみはホクホク顔でかかあにみたこともない料理で出迎えられた)

10「結婚は5年たって仕事を覚えてからする」
マスコミ人は整理部、業務部などの定時の仕事をしている部門以外は生活が不規則だ。
 特に社会部など「事件」「事故」「土砂崩れ」など自分の意思とは関係なく発生することにもつきあう(取材する)必要がある。したがって、めったに配偶者に「つきあえない」ので可哀相だ。どくなに地方の支局に赴任しても22時ぐらいまでは働かされる。
 放送や大手出版社は最初からエンドレスで働く。いくら高給でも時間には変えられない。特に新婚の時や子供の幼稚園の運動会や学芸会に出ないと子供からも恨まれる。したがって「愛人」(候補)はいっぱいいたほうが比較できるのでいいが、一度決めて結婚すると、「甘い新婚生活のカケラもないマスコミ商売」ではかかあ(亭主)が泣く
 したがって大手新聞なら本社に上がってからか、仕事を覚える5年とか最低でも3年すぎてからの結婚が望ましい。逆に仕事にかまけて35歳とかになると配偶者の貰い手がなくなる。

11 マスコミは高給か?
 マスコミの高給ぶりは有名だ。大手放送局などは残業代が青天井(制限なし)の場合もあるが、そもそもの基準賃金やボーナスが高い。
 東京キー局よりも、番組を余り作っていない関西キー局の方が高い。ディレクターや記者は1年目から1000万円を超える。
 新聞社も朝日新聞、読売新聞、日経新聞は推定で3年目で600万円、10年目で1000万円、20年目で1500万円。北海道新聞などの地方紙(北海道新聞は正確にはブロック紙)も朝日新聞なみかそれ以上と言われる。
 でも、新聞社は残業代は打ち切りだ。出版社も音羽や一橋などでは3年目から900〜1000万円という話がある。次に新潮社(神楽坂)、文春(紀尾井町)なども600万円ぐらいだろうか。しかし、これらの一部の出版社以外は儲かっていない。社員をこき使うところも多い。
 そういう会社は未払いの残業代がある。早く労働基準監督局(労基署)が取り締まって、超過残業代を会社に支給させて欲しいものである。銀行や一般企業なので取り締まりをしている。90年代、新潟の某銀行に労基署が手入れにはいった。すると未払いの残業代が発覚して、会社は数十億円分、社員によってはクラウン1台分ぐらいの残業代を支払った。なぜマスコミに対してやらないのか不思議である。
 ついでに書いておくが、出版社用語で、「音羽は最近調子悪いね」という時は講談社と光文社を示す。それは両社は資本関係にあり、文京区音羽にあるのでその隠語になっている。警視庁の刑事が同僚と居酒屋などで飲むときに、周囲の客にに「わが警視庁はおかしい」とは言えないので「桜田商事の人事ももうすぐかな」というのと同じである。
 一橋というと小学館や集英社のこと。江戸時代に水戸藩、つまり一橋家がいまの千代田区一つ橋にあったので、それが地名となり、出版社用語では隠語で両社を示す。一橋グループには雑誌の祥伝社、マンガの白泉社も含む場合もある。
 ちなみにフジテレビはコールサインから「CX」、ニッポン放送は「FL」、テレビ東京は「TX」と呼ばれている。


12 「転職は3回ルールがある」
 放送記者や新聞記者の転職は3回まで。記者は技術職なので、転職(取材ノウハウや人脈をもっていればの話だが)は簡単だ。また転職の書類審査は、記者クラブの仲間がやるので、特ダネ記者が否かはすぐに分かる。出版社の編集者も同じだ。ヒット企画や雑誌、書籍は誰が編集したのかすぐに分かる。
 作家に食い込んでいる編集者も分かるので。しかし、それも3度までだ。4回目以降は難しい。理由は「長続きしない奴、どこかミスがある、組織に合わない」だけでなくやはり日本はまだ「江戸時代」なので「殿(社長)や藩(企業)」に一生涯尽くすのが「美徳」らしい。
 また1年以内の辞めて再就職する場合はまずマスコミに再就職は不可能だ。「クビになったやつ」と誤解される。したがって1年以内の転職はあくまで在任中に「ステップアップ」のつもりでやれば、相手(採用側)も理解してくれる。特にサンケイ、時事など給与の安い会社からの「優秀な人材」の転職は歓迎される。


13「失敗は恐れない」
 失敗をいちいち気にしていたら、この商売はノイローゼか鬱病になる。失敗の数が多いほど「経験」が積まれる。著者も始末書を何枚も書いたし、停職処分も食らったが、そんなのは特ダネをいっぱつかませば、吹っ飛んでしまう。
 だからみんな血眼になって特ダネを探すのである。もちろん特ダネは社内では、社長賞、編集局長賞、部長賞の対象である。社報に掲載される。一目(一目は囲碁用語から来ている)置かれる。対外的には新聞協会賞やボーン上田賞を狙うことになる。
 唯一の例外が官庁的発想の「天下の」朝日新聞である。メーカーでいうと松下電器らしい。いわいる減点主義の会社である。朝日新聞では始末書は減点の対象となり、給与の「基礎点」が減る。始末書が3枚にもなると大きな減点となる。基礎点から給与が決まり、ボーナスも計算するので、同期でも数年で年収が10万円単位の大きな差となる。 


14「人権を一番踏みにじっているいるのはマスコミである」
 最近ではメディアスクラム?とかカタカナでいうらしいが、昔は一斉に取材相手の家に踏み込み(許可があれば)写真や証拠物を借り(返さないので盗むという表現が適当か)それを基に取材するので、放送記者や新聞記者を信じたものはバカを見る。写真週刊誌や放送ではホームビデオや写真まで取っていくことがある。もちろん遺族や家族の許可があるが、自分が取ったホームビデオが堂々と全国に放送されるとさすがに貸した方は後悔するらしい。放送と、書きたい放題の記事で被害者の人権も結果的に損なわれる。
 加害者の場合はいうまでもない。「社会的地位を抹殺する」(裁判では社会的な制裁という表現が使われる)ことで、「殺人」と同様の行為をするのがマスコミである。
 これはいうまでもないので、気を付けましょう。みなさん。

15「嘘は政治家と社長の始まり、泥棒は記者の始まり」
 政治家や一般企業の社長は取材に対して、まだ発表する段階でないとの判断や「企業秘密」を楯に嘘を堂々とつく。次期市長選に出馬するのはみんな分かっているのに本人は否定する。旧住友銀行の頭取で、身内がらみの不祥事で失脚した磯田さんという人は経済担当の記者仲間から「ウソダ」さんと陰口されていたのも有名な話だ。
 泥棒は記者の始まりも同じであり、取材相手の郵便箱から手紙をとって、上手に開封してコピーして「証拠」品にしてしまう。宮崎事件(1990年ごろの連続幼女誘拐殺人事件)では、宮崎被告の父親が、当初まったく息子を信用していたので押しかけた地元記者クラブの記者が警察が非常線(立ち入り禁止のテープ)を張る前だったので、父親を説得して宮崎容疑者の部屋に入り、写真をとった上で、手紙、アルバム、名簿、(子供を殺害したときらしきビデオテープ)を某社以外は取っていった。某社とは朝日新聞のことである。
 著者は宮崎被告が、まだ逮捕される前に「今田勇子」の偽名で、朝日新聞東京社会部に「犯行声明」を送ってきていた。これは記事になっている。実はこの声明の文書が犯人がどうかの決め手になってのは、つまりいたずらの手紙でないことが分かったのは、封筒に誘拐して殺した幼児のポラロイド写真が同封されていたからだ。
 著者は当時、警視庁多摩地区の担当記者だったので、デスクからその手紙のコピーと写真を渡され「探してこい」と過酷なミッション(命令)を受けていた。
 たまたま、被告の逮捕時は、第5の殺人事件は起こりそうもないないな、という時期で著者は甲子園に高校野球の取材に行っていた。
 したがって、著者は泥棒にはならなかったが、もし私がその場所にいたら当然やっていた。犯行声明を送られた会社のメンツもあるので。私の代理の警察担当は、まじめな人で、泥棒をしなかった。そのため宮崎逮捕後の報道は朝日新聞は完全に「負け戦」(抜かれっぱなし)となった。捜査もそうだが、取材も初動取材が大切である。ついでにいうと、この宮崎被告の逮捕は警視庁八王子署の発表の1週間前だった。警察も「やさ男」で「地元有名人の子弟がまさか」と思っていたらしい。特ダネはサンケイ新聞と言われている。
 サンケイが夕刊(当時、東京本社版では夕刊があった)に書きかけたので、例の「記者クラブ」の圧力により、正午の発表(つまり夕刊に各社間に合う。)となった。サンケイに抜かれたら「クビ」になる。つまり次の人事異動で僻地の通信部(一人の支局)や整理部(紙面のレイアウトをする部門)へ異動は間違いないからだ。    

16 警察は国家権力か その1
警察は国家権力である。絶対に喧嘩をしない。喧嘩をする時に「特ダネをものにしたい」場合に限る。普段は、あくまでも「脅す」ことに留める。また警察に「非」があったり、どうしても利用したい時は、記者クラブで新聞各社の記者と談合して「脅せ」ば、相手は文句は言えない。マスコミがけったくするとろくなことがない。逆に胡麻すりは「100利益あって1害なし」なので胡麻すりに徹すること。

17 放送と通信社の違い
その点、放送や通信社には締切りが関係なので羨ましい。最近はインターネット新聞(各社のホームページ)でも速報で流すようになった。

18 朝日は3人寄れば人事の話
 「朝日新聞の記者が3人集まれば、人事の話をする。毎日新聞の記者はカネの話。読売新聞の記者は事件の話」というのは20年前の諺だ。ついでにNHKは(日本薄謝協会)と言われ、(昔は)テレビに出たいという出たがりしか入社しなかった。また「サイケイ残酷、時事地獄」というのもある。これは人使いの粗さや給料の安さ(朝日新聞や読売新聞や日経新聞や大手放送局に比べて)を意味する。

19「警察は国家権力だが身内と政治家には弱い」
新聞記者の時だったら、副署長や署長や本部の刑事部長に「つげぐち」してチクチクといじめるし、警察官も「丁重にあつかってくれる」。ついでにいうと政治家(国会議員、県会議員)や署長などの幹部の子弟も「丁重」に扱われる。身内は分かるが政治家はなんといっても警察予算(警察は都道府県議会の予算事項)の承認をしてくれる人であり、国会議員は警察関連の法律を通してくれる人なのだ。
 
20 国家権力その2
 著者は天才漫画家の赤塚富二夫?氏の「天才バカボン」のファンである。なぜなら、ピストルを撃ちまくるでべその交番の「お巡りさん」がいつも「国家権力をバカにするな」という台詞がある。漫画なので、ピストルで人は死なないが、赤塚氏はよっぽど警察が嫌いなのか、よくこの台詞を漫画で登場させている。
 漫画ではギャグだが、そこは天才赤塚氏、実は真相をついている。著者も昔、酔って、民間人と喧嘩をして、23時から朝の6時まで事情聴取(酔いがさめて、示談となったので、そこで終わったが、なぜか喧嘩相手と二人で地域課長の前であやまされた。


21 放送記者や新聞記者には「記事にしない特権がある」
 ニュースはあまりに多い。県版では書いても書いても足りない。
しかし、ニュースの価値を選別して「ボツ」にするのは記者の特権だ。
書かない方が「人権」を守れるなども場合はもちろんだ。
かっこ良く言えば「ニュースの裁判官」である。
ピースボートの学生が北朝鮮ツアーの「売り込み」に朝日新聞に来た時に、阪東はボツにした。「ピースボートは商売だろう。なんで(早稲田大学の後輩の)辻元清美(後に議員、つまり選挙資金だたかも、ピースボートは)の儲けの為に天下の朝日新聞が書かないといけないんだ。辻元に言うとけ。二度と朝日新聞に来るな」と追い返した。
 「書かないことも大事だ。あとサツカンが立件、検察が見送った事件にも注意が必要で、書いたら「調査報道」になって、責任が全部押しかかる。リクルート事件のように「適用する法律が整備されていない場合はキャンペーンで法律を小役人につくらせれば、いい。それができなと「賄賂」「脅し」をうけている場合が多いのでまた記事にすることができる。グリコのキャラメルである。
 また別の理由で「記者レベル」でボツもある。デスクにもあげない。「良い記事」は取材対象者は喜ぶ。しかし「逆の場合は激怒、絶望、人間不信」になる。こっちが問題が。デスクは喜んで使う。しかし担当記者はたまったもんじゃない。
 阪東が新潮社を辞めた理由のなかに、スキャンダル記事(もちろん特ダネ)で「本名」「国籍」「前科」をばらしたり、「自殺」「社会的生命」「名誉」「家庭破壊」においやったケースがある。「畳(ベット)の上で死ねない」と思ったからだ。
また、別の「ボツ」もある。サツカンとの取引や役人,政治家との「取引」だ。
 「スキャンダル」をネタに「別のニュース」をもらう。
 かつて国税庁の「汚職記事」のボツと引き換えに「山口百恵や竹下登の脱税」の記事が某朝日に。1月ごろ「確定申告」の時期にわざと「汚職」ネタを東京なら東京国税局の「広報専門官」(一級署長級)を「脅すのである」。
 確定申告前に「汚職記事」でたら全国の税務署員が一般国民から「一斉に」、窓口で怒らなれたり、苦情いわれ大変なことになる。ついでにノルマが「厳しく「自殺」が多いのも税務署である。

 アメリカで100年前に、すでにマスコミの役割について書かれた名著「世論」(岩波文庫)がある。著者のウォーター、リップマンは「広報は会社や役所の宣伝であり、世論を操作するために、自分の会社の製品を売り込むためにある」
と「看破」している、また「パパラッチなど」の芸能政治新聞や雑誌について、何が「大衆」を喜ばすかがマスコミの役割と見抜いている。
 社会的な犯罪、歴史に影響を与える史実の発掘などのスクープ記事は別として、たんなる幼稚園のもちつき大会、ジジババの書道展、NPO(非営利組織、週刊新潮的に言えば、慈善行為の押売団体)などどうでもいい行事を記事にするかいないかは現場の記者の判断である。
 また裁判官の判決に成績をつけ、どうでもいい判決は記事にしないのも記者の特権である。ただし、警察発表はできるでけ載せて、恩を売ること。すると発表しない「裏の特ダネ(記者にとって、つまりは大衆が喜びそうな)」をかすめ取るとこが出来る。
 つまり、逆に、裁判官や検事は記者に「ジェラシー」を感じつつも、バカにしているので、取材しにくい。マスコミなくして彼らの「仕事」は世間に伝わらないのだ。

22 朝日は3人寄れば人事の話
 「朝日新聞の記者が3人集まれば、人事の話をする。毎日新聞の記者はカネの話。読売新聞の記者は事件の話」というのは20年前の諺だ。ついでにNHKは(日本薄謝協会)と言われ、(昔は)テレビに出たいという出たがりしか入社しなかった。また「サイケイ残酷、時事地獄」というのもある。これは人使いの粗さや給料の安さ(朝日新聞や読売新聞や日経新聞や大手放送局に比べて)を意味する。

23 インターネットと出版社、新聞社
 広告(売り上げベース)はインターネットがラジオを2005年ごろ、抜いた。次は出版社で2009年ごろの見込みで、新聞は一番単価の高い日経や部数の多い読売新聞が朝日新聞を抜いているらしい。新聞社がインターネットに抜かれるのは2011年の地上デジタル放送が失敗して、5年以内の見込み。10年後の2016年あたり。新聞は年寄りが全滅するまで、部数はゆるやかに減り続ける。
 しかしNIE(Newspaper in education)が小学生や中学生に義務にして中学入試、高校入試に必須科目にするとあとさらに10年は続くので、レコードからCDさらにタワレコードの崩壊という音楽のような「ビジネスモデル」の崩壊(瞬時の、10年ー15年での)はない。
 放送はさらに10年伸びて2026年ごろ、阪東がおだぶつしているころです。
 いずれにせよ取材は「ロボット」ができない。活字にしろ放送にしろ、記者は必要なのです。
 また、インターネットや大手新聞やもちろん奥様番組ふくめて民放テレビのニュースの「対象にならない」くだらない記事をのせる地方紙、もっといえば岩手県でいうと、地域新聞は岩手県の盛岡の岩手日報は県紙、岩手日々は一関(宮城との県境の一関市)の地域紙となる。しかし、岩手北部は江戸時代に南部藩なので青森山田で有名な八戸の「デイリー東北」が占めている。そういう「赤ちゃん誕生、結婚おめでとう、おくやみ」などの「細かい」情報は地域新聞にしか掲載されない。口コミベースなのでインターネットはまったく関係ないといえるだろう。インターネットは全世界相手の「オタク」「趣味」「大事件の速報」には向いているが、その逆には不向きだ。
 しかし「結婚欄」のある岩手日々には驚いた。英国のTIMESの「社交欄」(もっともあちらは上流、貴族階級用だが)
また県紙の岩手日報も

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